CD「きいてみよう。クッキーハウス02」が出来るまで

CDのご購入は、こちら。

(文: ツネおにいさん)

はじめに〜童謡・唱歌との対峙〜

2017年3月4日、和歌山県すさみ町立見老津小学校の廃校に伴う「お別れ会」に、
クッキーハウスで出席した帰り道、偶然に通り掛かった「日本童謡の園」に、
ふと立ち寄りました。

広い公園の敷地内には有名なあの歌この歌の石碑(歌詞)が点在し、
センサー式やボタン式で音楽が流れてくる場所もあります。

細い、曲がりくねった坂を登り切った、そのとき
私たちの眼前に拡がっていたのは、銀色の海でした。

雲と溶け合うような水平線、
キラキラと白く細かく輝く波、
遠く近くに見える、数隻の船、
断崖を吹き上げ、頬をなでる風。

「あぁ、『うみ』って、こういう歌だったんだ。。。」

その時、私たちが佇んでいた現実は
間違いなくあの「うみ」の世界でした。

現代、失われつつあるものも多々あるのでしょうが、
思えば誰もが口ずさむ童謡・唱歌には、
薄っぺらい絵空事ではない、多くの人の人生や心に沁みる
現実、現世界、原風景が、必ず存在します。
(今と連続する歴史、と換言可能かも知れません。)

そんな深淵で素晴らしい童謡・唱歌の世界と
どっぷり向き合い完成したのが、このアルバムです。




選曲について

童謡・唱歌についてクッキーハウスメンバー内でリストアップする際、
利用したのが「日本の歌百選」でした。

メンバーが各々独自にリスト内にマル印をつけ、
上限も決めずに3人一致で「マル」が付いたものが14曲。その後

「杉本徹作曲の『もういいかい』も是非入れたい!」
というミワコおねえさんの提案により15曲がアルバム入りしました。



各曲(原型)の制作方法〜基本レシピ〜

アルバム中の12曲は「ピアノを伴う」楽曲ですが、
その制作方法は大変ユニークなものとなりました。

まずトオルおにいさんによるピアノ部分が、完全に先に出来上がります。
それを受けて、ツネおにいさんが使用楽器を選択、メロディおよび
ハモりパートの制作へと進んでいく、というものです。

ここでトオルおにいさんからのコメントをご紹介。

たとえば「うみ」という曲を歌うとき
『海は広いな大きいな~♪』という歌詞を通じて
海の広さや沈む夕陽を想像するかと思います。

もしこれが歌ではなく楽器の演奏なら
歌詞を思い出しながらでも、歌詞にとらわれなくても
より自由に「うみ」を描けるのではないでしょうか。

今回収録している作品(12曲)はすべて、そんな風に
元々の歌詞からだけではなく、そこから広がる世界や
私自身が持つ記憶など、様々なものをテーマに
曲の背景(ピアノ伴奏)を描きました。

また、イントロや間奏についても
楽曲のイメージを決める重要なパートとして
歌詞ありきのものとはまた違うアプローチで
新たなオリジナルのものを創作しました。

と、準備を整えるところまでが私の仕事です。
あとは登場人物たち(メロディー)の出番を待つだけです。


さてここからはツネおにいさんの仕事。

既に楽曲のサイズ、キー(調性)、前奏・間奏を含めた
曲のテイストが仕上がっている状態にメロディーやハモりをはめ込む・・・
これはやり辛いかというと、案外そうでもなく(笑)

例えば「赤とんぼ」。
トオルおにいさんから送られてきた音源は、いわば風景写真です。
(動画というイメージのほうが正しいかも知れません。)

そこには晩夏の乾いた空、
一面に拡がるススキの丘が拡がっています。

私はそこに、1匹なり2匹なりのトンボを飛ばす・・・。

風に吹かれながら、ホバリングしたり
あるいはスッと何処かへ行ったりする、
あのトンボの動きを描けば良いのです。




プリプロから音源へ

トオルおにいさんのピアノ音源に、
ツネおにいさんによる各種楽器の演奏を入れる・・・。
ここまでが「曲作り(プリプロ)」という段階です。

意外かも知れませんが、
この段階ではまだ「楽譜」は、一切存在しません。

プリプロとして一旦「音楽」が完成したのち
ツネおにいさんによる各種楽器の「楽譜化」がおこなわれ
楽譜という媒体が誕生します。

やってみよう。

これがクッキーハウスのコンセプト。
なので広く多くの人に楽しんで(演奏して)もらいたい!

楽譜は、そのためにあります。


と言いつつ(笑)その楽譜を見ながら、
いろいろ書き込みながら、何度も練習をして、
「録音」となります。




録音について

今回、録音は「トラック別」におこないました。
「トオルおにいさんのピアノ」トラックに、
「ツネおにいさんのオカリナ」トラック、その上に
「ミワコおねえさんのリコーダー」トラックを重ねていく・・・
という手法(多重録音)です。


ちなみに前アルバム(きいてみよう01)は
3人が実際にアンサンブルしたものを録音しましたが、
これは制作コンセプトというか、それぞれの良さがあると思います。

「きいてみよう01」は実際のクッキーハウスのライヴ感を
CDでも味わって、楽しんでほしいというコンセプト。

「02」はより繊細な表現を、じっくりと味わって頂けると思います。




そしてCD完成

本気でガッツリ録音したのち、
「編集」「マスタリング」という作業があります。

エコーをかけたり、ステレオの定位をつけたり、
とにかく色々細工(ぅおっと)したあと、
2chの、普通にCDで聴ける形式にします。

ここまでは全部、私がやります。
勿論チェックはメンバー全員でやります。

ここまで来れば、あとはCDプレス業者に発注→完成です。



はまのゆかさんのジャケット

CDという物体にとって忘れてはいけないもの、
それは「ジャケット」です。

ジャケットのイラストは前回に引き続き

はまのゆか

さんに、描いて頂きました。

「もういいかい」の世界観を表現した、
とても素敵なジャケットに仕上がりました。

今回のアルバムはAppleMusic(配信)で視聴可能ですが、
どうか、物体バージョンの「CD」を、是非お求め下さい。




CDのご購入は、こちら。




おまけ:時系列

(2020年1月2日追記)
今回のCD、部内コードは「MiRoDsu(ミロズ)」。
把握できた範囲で時系列を公開しましょう〜。

2017年3月4日、「日本童謡の園」からインスパイアされ
漠然と「クッキーで童謡をやろう」と決意する。
その後、表面的な進展はありませんでしたが各々の試行錯誤の結果
2019年1月28日に今回の楽曲制作方針が決定

1月29日 初期段階候補曲7曲が決定、
1月30日 最初の1曲「ふるさと」のプリプロ完成、
2月7日 「日本の歌百選」のリストを部内回覧し14曲を選出
6月1日 「もみじ」で全プリプロ完成、
8月7日 マスタリング最終完成
8月9日 ジャケット等ビジュアルデザイン完成
8月27日 製品受け取り

こうして「きいてみよう02」が、めでたく完成いたしました。