BOW02通信(追記式)

BOWプロジェクトの第2弾が、いよいよ始まりました。
BOWプロジェクト作曲者である杉本徹が、時々このページで語ります。

(ツネおにいさんも、たまに語ります。)

現在、「12月24日号」です。

12週にわたって追記式でお届けしてまいりましたこの「BOW02通信」も、この12月24日の更新をもって、めでたく稿了となります。リアルタイムであったこの記事が、年月を重ねてまた誰かの何かのお役に立つことがありますよう…

2021.10.08
「02」の誕生日

「とにかく作ってみよう」というのが、楽譜『鍵盤ハーモニカデュオのための作品集01』でした。
鍵ハモデュオのオリジナル曲…マニアックだとは分かりつつ、

  • 楽器の魅力を引き出すのはその楽器のためのオリジナル曲
  • 鍵ハモデュオという編成の楽しさ

この2つは自分の中で確かなものだったので、それを伝えたい一心で制作しました。

最初は自主出版&自主販売の予定だったものが、ご縁があり、リコーダーJP様から出版していただき、全国流通されるという夢のようなスタートを切りました。

発売から2年、3年と経っていくうち、徐々にご購入いただいた皆さんの演奏を聴いたり、一緒にアンサンブルさせていただく機会も増え、その度に楽しみを共有できる喜びを噛み締めています。

そんな中で、たくさんいただいた続編希望のお声が、今回の「02」制作に至る大きな原動力となりました。

しかし、いざ曲を書き始めようとなった時、「02」はどういうコンセプトにしようか悩みました。「01」では「鍵ハモの魅力を引き出すには、こういうジャンルの音楽がいいのでは?」という作り方をしていた部分が大きかったのですが、その方向性でいくのは限界があると感じたからです。
ではどうやって楽器の魅力を引き出せばいいのだろう?

しばらく悩みながら、楽譜を演奏してくださる皆さんが、別の楽器を加えたり、あるいは鍵ハモ以外の楽器だけで(コーラスなんてのも!)など、思い思いのスタイルで作品を楽しんでいただいていることを思い出しました。

そうか、皆さんは想像を超える自由な発想の持ち主だ。自分は作品自体が魅力的だと思えるものを作ればいい。そこからは皆さんが各々で世界を広げてくれるだろう。

そういう気持ちで一気に12曲を書き上げました。鍵ハモデュオ作品という一見小さな枠の中ですが、自分が表現したい音楽を存分に詰め込むことができました。

というわけで、いよいよプロジェクト第2弾が動き出しました。これから12週に渡って新曲を公開していきます。

2021.10.08
タダススメ

記念すべき再始動の1曲目は『タダススメ』という曲です。

何をするにも前に進まなければ始まりません。
当たり前のことですが、それを続けるのは難しいです。

「01」から「02」へ進むのも簡単ではありませんでしたが、皆さんの音楽が「タダススメ!」と背中を押してくれました。

BOWプロジェクトは皆さんと動かすプロジェクトです!
共に広げましょう。鍵盤ハーモニカから始まる音楽の世界を♪

「タダススメ」をYouTubeで視聴

2021.10.15
虹色通り

この曲は、多くの人でにぎわう街を表現しています。

街と言えば「01」に『石畳』という曲があって、そちらも外国の古い街並みをイメージしているのですが、人の姿は少ないつもりで書いたので、また違った雰囲気です。

『虹色通り』はメジャー調でシンコペーションのリズム
『石畳』はマイナー調で4分or8分刻みのリズム

という違いも、印象に影響を与えているかも知れませんね。

また、この曲ではSUZUKIのPRO-37v3を使用しました。

今回のBOWプロジェクト第2弾では曲調に合わせて鍵ハモをチェンジします。

BOWサウンドはYAMAHAのP-37Dで定着していましたが、「より楽曲の世界観を出していこう!」という趣旨です。

サウンド感の違いもぜひお楽しみください♪

「虹色通り」を YouTubeで視聴

「石畳」を YouTubeで視聴

2021.10.15
鍵ハモの調整(ツネ兄)

これは人によって「え?そんなの当然じゃん」と言われるか「え、チューニングなんて出来るの?」と言われるかの認識が分かれるところだと思うので敢えて書いてみましたが…

今回のBOW02プロジェクトにかかる録音にあたり、「使用鍵盤ハーモニカを全て調整」してから、録音に臨みました。

使用楽器はP-37Dが2台、PRO-37(v2 & v3)2台、バスメロディオン1台の、合計5台。
全部わたくしツネおにいさんがやります。

鍵盤数(音数)を足してみると、172。
結局、多分全部のリードを触ったんじゃないかと思います。しかも1回ではなんとなく安定しないので、日を変えて各々2〜3周は、しましたね〜。

調整は音程の微調整はもちろん、可能な限り繊細な息に反応するようリードのカーブや角度を追求しました。時間も無限に費やせないしリード破損のリスクもあるので、突き詰めるところまでは行ってないかも知れませんが、シロウトが現実的に出来る範囲では、よくやったかなと思います。

皆さま是非その辺りの「音のクオリティ」も、聴いてみてくださいね♪

2021.10.22
雨の日

少し脱力感のあるこの『雨の日』は、私杉本が以前組んでいたユニットLOHAS NOTES(ロハスノーツ)のために作曲した『だいきらい』という曲のリメイクです。
残念ながらCDや動画は未収録の作品なので、聴き比べていただくことはできませんm(_ _)m

『だいきらい』は『雨の日』に比べて倍以上の長さがあり、「だいきらい」→「だいすき」になる様子を描いています。
その前半部分をアレンジしたのが『雨の日』です。とある企画で、クッキーハウスのCDデザインでもお馴染みのイラストレーター「はまのゆか」さんが『だいきらい』を聴いて描いてくださったイラストが雨の情景だったので、タイトルを『雨の日』にしました。

LOHAS NOTESについても少しだけご紹介しておきます。
2006~2012年にリコーダーと鍵盤ハーモニカのデュオをメイン編成とし活動していたユニットです。

この編成で『情熱大陸』を演奏するYouTube動画は、ちょっと笑えるので、よかったら見てみてください♪
(本人達は超マジメにやっています)

LOHAS NOTESの『情熱大陸』

LOHAS NOTESでは編成的に鍵ハモは伴奏役が多かったので、とにかく色んなパターンの伴奏を作って演奏していました。
その頃のノウハウが確実にこのBOWに活かされています。

そう、BOWの2ndはおそらく日本で一番鍵盤ハーモニカで伴奏をしてきた人間の歴史が詰まったパートです!

おっと、つい熱くなってしまったのでクールダウン。
脱力系の1曲『雨の日』をお楽しみください♪

「雨の日」

2021.10.29
海香る

4曲目は爽やかさ全開の『海香る』です♪
理屈抜きに雰囲気を感じていただける曲になったと思います。

マニアの方のために、こだわりポイントを挙げますと、やはり前回の記事でも熱くお伝えした2mdパートでしょうか。

2ndはほぼ1オクターブの音域に収まっています。37鍵で低音部を支えるとなると、大体そうなります。それゆえ、その中での音選びが大変重要になってきます。正直に言うと「もっと下の音があれば…」と思うこともありますが、言い出すとキリがありませんからね。そこは工夫をします。

その工夫の1つとして「コードの転回」があります。ざっくり言えば「ドミソ」を「ミソド」や「ソドミ」にすることです。これを上手く使えば、音域足りない問題も解決というわけです。

コードを転回させるメリットは他にもあります。例えば「ドミソシ」というコードを「シドミソ」に転回します。すると「シド」の部分が隣同士なので鋭い響きになります。この響きがパーカッシブな伴奏にピッタリなのです。
何より、鍵ハモで鳴らす隣同士の音は気持ちがいい!『海香る』ではこのような箇所がたくさんあります。

1stのこだわりポイントはズバリ、メロディーラインです。曲構成は<前奏>→<Aメロ>→<Bメロ>→<サビ>となっており、<Aメロ>から<サビ>にかけて、徐々にメロディーの中心軸を上げていくことで、高揚感を表現しています。メロディーで使っている音域は実に2オクターブ強です。これだけの音域(まだいけます)をメロディーとして表情豊かに演奏できるのも、鍵ハモの素晴らしいところです。

「海香る」

2021.10.29
動画制作の話(ツネ兄)

YouTube動画を制作する際、一般的には「どうすれば再生数が伸びるか」とか「どんな楽しい動画にするか」とかを考えて作りますよね。どちらもYouTube動画制作の基本ともいえる大事な要素に違いありません。

ただ、今回の「BOW02プロジェクト」の動画制作前、私はこのように考えました。

「どんな人が、この動画を興味を持って見てくれるのか」

そう、この「BOW動画」は、勿論たくさんの人に見て頂きたいという気持ちはありつつ、まずは上記のような人たちに向けた動画でありたい!と心がけています。今後発売される楽譜を見て「杉本は、小西は、一体どうやってこれを吹いているんだろう」と疑問が湧いた方に、その一挙手一投足を見ていただけるように、という気持ちで制作しています。
あ、くれぐれも決してこの通りマネをしてくれと言っている訳ではありませんよ。

それともう一つ意識したのは、BOWプロジェクトの語源(?)ともなった、「白と黒」です。

杉本・小西の衣装もさることながら、背景でも「白と黒(BOW)の世界観」を表現したいと考えて作っています。

考えてみれば制作素材そのものも、至ってシンプル。

杉本&小西(奏者)、各種鍵ハモ、グリーンバック、あとはMotionで背景を作ってFinal Cut Proで編集すれば「BOWの世界」の出来上がりです。ちなみに撮影カメラはiPhoneを使用しています。各々リモートで撮影して、編集時に「がっちゃんこ」します。

2021.11.05
I’m a Bulldog

5曲目は『I’m a Bulldog』です。

BOWプロジェクトのマスコットであるフレンチ・ブルドッグの「BOWくん」をモチーフにしています。

フレンチ・ブルドッグは温厚な性格らしいのですが、どう猛だった祖先の血が騒ぎ出すこともあったりして…という妄想を曲にしました。誰しも自分では気付いていない自分がいたりしますよね。

ところでこのBOWくん、最初は楽譜「01」の挿絵のために杉本が紙に手書きした絵をスキャンしただけのものでした。

それはそれで味があったのですが、「02」の挿絵を描くにあたってiPad +タッチペンというスタイルに初めて挑戦しました。それが楽しくてつい、スタンプを作ってしまったという流れです。めずらしく音楽以外の部分の血が騒ぎました(笑)

もしよければチェックしてみてください♪
LINEスタンプ『BOWくんと鍵盤ハーモニカ』
https://line.me/S/sticker/17283475

「BOW」の語源については、犬の鳴き声以外にもうひとつ。
↑前の記事でもツネおにいさんが触れていたとおり『Black Or White』の頭文字を取っています。

これはマイケル・ジャクソン氏の楽曲名からの引用で、歌の中では「黒(人)か白(人)か関係ない」という意味で使われています。私なりに、それは楽器や音楽にも当てはまることと捉え、「この楽器ならこういう音楽」のような偏見ではなく、もっと自由に音楽を楽しめたら、という思いを込めました。

BOWを通して感じてもらいたいこと。
それは、黒と白の間にある無限の色の存在なのです。

「I’m a Bulldog」

2021.11.12
蛍火

6曲目の『蛍火』はその名のとおり蛍が光を放っているイメージで、クッキーハウスのとある遠征先で見た蛍の印象を曲にしました。それまで自然の中で多くの蛍を見た経験がなかったと思うので、その時に感じたことは大切にとってあり、ようやく形にできました。

蛍の曲を書こうと思った時から鍵ハモを使うことは決めていました。その理由は蛍の放つ優しい光が、鍵ハモに弱く息を吹き込んだ時に出る音のイメージと似ていたからです。
強弱記号で表すと「p < > p」で、曲中で何度も登場します。この繊細な強弱表現をするため、弱い音を出しやすいメロディオンPRO-37(v2 & v3)を使用しています。

和声的なところで言いますと、この曲でも『海香る』の記事で解説したような、隣同士の鍵盤で重なる和音が頻繁に出てきます。ただ『海香る』の時のように、強く同時に鳴らして鋭さを出す狙いとは逆で、弱く順番に鳴らすことで幻想的な雰囲気を出す狙いです。どちらも心地よく、この感覚は聴くことよりも実際に演奏して、楽器から体に伝わってくる感覚を楽しんでいただきたいです。これは鍵盤ハーモニカが吹く楽器で、且つ和音が出せるからこそ味わえる大きなメリットだと思います。

まぁそんなことはひとまず置いといて、『蛍火』の世界観に浸っていただけると嬉しいです♪

「蛍火」

2021.11.19
勿忘草

7曲目は少し切ないワルツです。

作る時にイメージしたのが「音楽室の倉庫にある使われなくなったアコーディオン」です。その「忘れないで(Forget me not)」という想いを表現しました。

タイトルの『勿忘草』は、花の英名が『Forget-me-not』であることから、そう名付けました。

これが「押し入れに眠っている鍵盤ハーモニカ」でも意味としては全然よかったのですが、イメージしたのはアコーディオンだったんですよね(苦笑)。

うっすらした記憶では、自分の通っていた小学校の音楽室にもアコーディオンがありましたが、あまり使わなかったと思います。たぶんそういう懐かしい記憶が曲のイメージに結びついたのでしょう。

ただ、完成した時点でこの曲は鍵盤ハーモニカデュオのための作品なので、「押し入れに眠っている鍵盤ハーモニカ」を呼び覚ますきっかけになってほしいと願います。

「勿忘草」

2021.11.19
BOW02プロジェクトの全貌その1(ツネ兄)

毎週更新の動画、お楽しみいただいていますでしょうか?

私がこの文章を書いている現時点(2021.11.17)で、まだ数曲の動画制作が(撮影も含め)少し残っていたりと、まだまだ気の抜けない今日この頃を過ごしておりますが、この「現在進行形」の今だからこそ書き残しておける事もあるかなと、筆を執っています。

さて今更ながらこのBOWプロジェクトの使命は、端的にいうと「当該楽譜を世に送り出すこと」です。楽譜はすでに入稿が完了し、現在、出版社側での最終段階に入っています。リリースまでもうしばらくお待ちください。

BOW02プロジェクトを作業形態的にまとめると、「楽譜」「音源」「動画」の3つの制作セクションに分かれます。「楽譜」は説明の余地はありませんが「音源」とはその楽譜に添付の「マイナスワン(カラオケ)音源」、そして「動画」とは現在毎週更新中のYouTubeのことです。
(今のところ「マイナスワンでない音源」のコンテンツ化展開は無い状態ですが…この話はまたいつか)

さて上記のうち「楽譜」と「音源」とは密接に関連していて、例えば「音源を録音していく過程で、楽譜のアーティキュレーションや指番号などの細部を決めていく」という作業をやっていました。

基本的な音程とリズムは当然作曲家杉本のなかで完成していますが、上記を踏まえた最終的楽譜は私と杉本とで作り上げたという実感が、私にはあります。
(あと地味ですが楽譜をビジュアル的に完成させる「浄書」という作業は、私が執り行いました。)

お話はまだ続くので、残りは次回書きます。

2021.11.26
似たもの同士

BOW作品では、メロディーと伴奏それぞれを存分に楽しんでほしいという趣旨で、1stと2ndの役割をはっきりさせています。

でも、この『似たもの同士』については少し違います。

1stと2ndどちらもメロディー的で、その名の通りお互いが似たような動きをし、掛け合いを楽しむ曲になっています。

両パートとも単音のみというのも他の曲とは違います。

こういう音楽を専門的には「ポリフォニー」といって、ルネサンスやバロック時代の音楽によく見られます。それ以降の時代も、技法の1つとして曲の一部で使われたりしています。この曲は2声(パート)ですが、3声、4声、5…という曲もたくさんあります。

誰もが一度は歌ったことのある『かえるの合唱』も言ってみればポリフォニーの一種で、パートが重なっていくあの独特の感覚にワクワクやスリルを感じた方も多くいると思います。

私自身もそういうポリフォニーを聴くのも演奏するのも大変好きで、ぜひBOW作品にも取り入れたいという思いから、この丸ごとポリフォニーの『似たもの同士』が生まれました。

例のごとく、演奏で体感していただくのが何よりですが、それまではどうぞ耳と目でお楽しみください♪

「似たもの同士」

2021.11.26
BOW02プロジェクトの全貌その2(ツネ兄)

前回の続きとして、「音源」のお話です。

驚くべき事に今回の12曲の音源は、実は一度もリアルで合わせることなく完成に至りました。

制作手法としてはクッキーハウスの「きいてみよう02」や「リモートきがく」でずっと鍛え上げている「Logic(DAWソフト)のファイルを共有して音を重ねていく」という方法なのですが…今回この話は割愛します。

そうして出来上がった「音源」は、「動画」に引き継がれます。以前のお話で「各々がリモートで撮影して」と言いましたが、その時に元…まぁ言ってみれば「アテ振りのガイド」になっているのが、この「音源」です。言い換えると現在毎週更新中のYouTubeで流れる演奏(音)は、「撮影時の杉本・小西の音」ではありません。
「音源」+「杉本の映像」+「小西の映像」を合わせて、ひとつの動画にしています。

以上、ざっくりですが「BOW02プロジェクトの全貌」すなわち3つの制作セクションを、紐解いてみました。

2021.12.03
揚揚

先日のライブ配信の中で発表しましたとおり、

楽譜『鍵盤ハーモニカデュオのための作品集02』の発売日が2022年2月1日に決定しました!!
(詳細はまた後日お知らせします)

というわけで、9曲目はこういう勢いづいた時にピッタリの曲『揚揚(ようよう)』です。

「アゲアゲ」と読んでもらってもいいですよ♪

この曲、実は作品集01の制作時に未完成になっていたものを、改めて引っ張り出してきて完成させたものなんです。

なので、自分にとっては5年前の初々しい感覚と、5年間で熟成された感覚が混在する曲になったと感じています。

01→02で変わったことと言えば、上の記事で説明があったように、ツネおにいさんが動画制作を現在進行形で頑張ってくれています。

01の動画は杉本が『iMovie』で作ったシンプルなものでしたが、02では曲の世界観がより伝わる映像作品となっています。

あと01では、なんと作曲も動画の公開と同時進行だったのです。

作曲→採譜→練習→撮影が超タイト! なんであんな無茶をしたのか^^;

それでもなんとか上手くまとまったと自画自賛したいと思います。

さすがに今回は先に全曲が出揃ってから公開を開始していますよ。

それもあって、作品集全体のバランスを考えながら作曲できました。

この時点でタネ明かしをしてしまいますが、全12曲の曲順で奇数は短調、偶数は長調となっています。また、調号(ハ長調、イ短調など)やテンポ感もできるだけ被らないようにし、個性を際立たせる工夫をしました。

そんなことも踏まえて、残りの曲も楽しみにしていてください!

「揚揚」

2021.12.10
牛と鼠のブルース

10曲目は『牛と鼠のブルース』です。

牛と鼠は干支(えと)の「丑」と「子」のことです。

小さい頃『十二支』という絵本が好きでよく読んでいました。
動物たちが元日に神様のところに到着する順番を競うあのお話です。

それに登場する牛と鼠にスポットを当てて曲を作りました。
バスの音色が牛っぽいと思っていたのがそもそものきっかけです。

絵本では鼠がゴール直前まで牛の背中に乗って一番になるという結末だったのを、この曲では一緒に仲良くゴールをするイメージにアレンジしました。
旅の道中で意気投合したのかな~など自由に想像してくださいね。

ブルースは音楽ジャンルの1つですが、ここでは形式的な意味ではなく、ブルースで使われる音階を用いていることからそう名付けました。

この曲の調はイ長調なので基本的に「ファ」「ド」「ソ」の3つに♯がつきます。
それがブルースの音階では「ド」「ソ」がナチュラル、「ミ」に♭がついたりして、その部分に憂いを帯びた印象を与えます。
これらの半音下がる音を「ブルーノート」といいます。

例えば冒頭のバスのフレーズで、上昇する時「ド」は♯、下降する時「ド」はナチュラルになっています。
もしこれが下降の時も♯だと、この気だるい雰囲気は出せません。
ブルーノートが出てきた時、そういう意図があると思って演奏すると、よりブルージーにカッコよくきめられますよ♪

「牛と鼠のブルース」

2021.12.17
逆風をついて

ここでラスボス登場! 11曲目『逆風をついて』です。

聴いていただいてもわかると思いますが、ムズいです!
本家である我々自身も録音&撮影には苦労しました^^;

なぜそんな難しい曲をあえて作ったかと言いますと、本当はこの曲を作る前に一度12曲が出揃っていたのですが、何かが足りない…という気持ちに駆られ、たとえ難しくても演奏してくださる方にとって、また自分自身にとってもチャレンジングとなるような1曲があってもいいと思ったからです。
それで元々11曲目に予定していた曲とこの曲を差し替えました。

曲のイメージは、ある体験からインスパイアを受けています。
それはクッキーハウスの遠征先で、知り合いの方のヨットに乗せていただいた時に感じたものです。

風の力だけで進むヨットは、順風ならもちろんその風を帆に受けて前に進むのですが、逆風でも前に進むことを疑問に思い聞いてみると、帆の角度を変えることで推進力を得たり、タッキングという方向転換を繰り返しジグザグ走行で少しずつ前進するのだと教わりました。

実際にこのタッキングを体験しましたが大変な労力を要しました。
ただ、着実に前に進んでいることを実感したのです。

そうやって逆風の中でも力強く前進する様子が曲のイメージであり、常にチャレンジし続けたい(してほしい)という想いを込めた曲です。

ちなみにこれは後からわかったことですが、ヨット用語で「バウ(bow)」は船首(または前方向)という意味で使うらしく、新しい道を切り開こうというこのプロジェクトのマインドとも重なる部分があり、偶然にしてはよくできた話に驚いています。

「逆風をついて」

2021.12.17
映像の話(ツネ兄)

BOW02プロジェクト動画もいよいよ残すところあと1本…
実は、(動画編集が)まだ出来上がってません(汗)

今回はそんな映像のお話です。

前述の通り、撮影(映像)は全てiPhoneで撮っています。
杉本・小西が各々リモートで撮るので、これを全然違うカメラで行なうと、色味とか露出とか画角とかが、なんだかとても面倒くさいことになります。でもiPhoneなら多少年式(バージョン)が違っても特に違和感や不自由なく作業を進行できます。

リモート撮影でもう一つポイントとなるのが「画像サイズとフレームレート」です。

映像素材としての「演奏シーン」は結構(手のアップとか)拡大して使うことが多いので、4Kで撮ったほうが綺麗です。
動画シリーズの前半の頃は未だそこまで試行錯誤が至らずでしたが後半のアップのシーンは見比べると綺麗なはずです。

フレームレートについては、今シリーズでは6曲目「蛍火」と今週の「逆風をついて」そして只今絶賛編集中の『次週の作品』を60pで撮っています。もちろんYouTube上でも60p(1080p60HD)で再生可能ですので再生環境(設定)を確認して、ぜひ60pでご覧ください。毎秒60コマの世界があなたの顔前に「逆風」を感じさせ、「蛍火」ではあなたが「ホタル」になって浮遊する気分を味わえるはずです♪

2021.12.24
子守唄

12週に渡ってお届けした新曲公開も、ついにこれで完結となります。
このBOW02通信にも最後までお付き合いいただきありがとうございました!

02の締めくくりは『子守唄』というしっとりとした曲です。
01の最後『家に帰ろう』もしっとり系で、それを意識した部分もあります。
ラジオ体操でいう「深呼吸」のポジションといったところでしょうか。

曲は、親が子の寝顔を見ながらその幸せを願っているイメージです。
子供を起こしてしまわないように…というか、ズバリ眠くなる曲です。自分でサウンドチェックしながら寝落ちしてしまったこともあります^^;(子守唄としては大成功だと身をもって感じました。)

バス鍵ハモの音色がなんとも心地良くて眠気を誘うんですよねえ。
そうそう、Pro37とバスという組み合わせは意外にも初めてで、音色が近くよく混ざり合うところが、この曲にはピッタリでした。

親と子といえば、作曲者にとって作品は我が子のようなものですが、このBOWプロジェクトでは、楽譜化や動画公開という形で、作品たちをできる限りいい姿で世に送り出すことを使命と感じています。

つまり生み出しただけではなく、しっかり育て上げたという感覚です。
それを何より大事に考え、共に送り出してくれた相棒のツネおにいさんにこの場をお借りし、改めて感謝を伝えさせていただきます。

旅立っていった作品たちが、時々顔を見せてくれる時があります。
そうです。皆さんが作品を演奏、そして披露してくださる時です。

最初の記事で記述したように、01の作品たちは実に様々な形で皆さんのところからその成長した姿を見せてくれました。

これほどありがたく、親冥利に尽きることはありません。

さあ、02の旅立ちの日は2022年2月1日に決まりました。
手塩にかけて育てた作品たちを、どうぞ可愛がってくださいね♪

「子守唄」

2021.12.24
BOW02PJ振り返り(ツネ兄)

まずは12週、この「BOW02通信」にお付き合いいただいた読者の皆様に御礼申し上げます。

この「BOW02通信」では作曲者である杉本徹の、まさに生みの親としての言葉を綴ってきました。そして私、ツネ兄は上段でトオルくんが書いてくれたように、「赤ん坊をとりあげる産婆さん」として、このプロジェクトを努めました。

さてこの作品は「鍵盤ハーモニカデュオのための作品集02」として、来たる2月1日、発売されます。
トオルくんの言葉を借りれば「旅立っていく」わけです。それはどういうことでしょうか?

よく「フルートのための〇〇」とか「尺八と琴のための〇〇」とか、特定の楽器のために書かれた楽曲作品ってありますよね。「チャイコフスキーのピアノ協奏曲」のように誰もが知っている曲もあれば、とある演奏家が「自身の楽器のための楽曲を」と作曲家に委嘱したものとかもあります。

後者のケースで私が一番大事だと思うのは、

楽曲に「〇〇(楽器名)のための」と冠した以上は、
その人(最初に委嘱した演奏家)だけでなく、
多くの「その楽器」のプレイヤー・愛好家達によって演奏される

ことではないでしょうか。

今回、そして前作合わせて24曲のBOW楽曲は、
皆様の手によって演奏され、解釈され、世に共有されることによって初めて「鍵盤ハーモニカのための楽曲作品」となることが出来ます。

思えば今まで「鍵盤ハーモニカのための楽曲」って、ありましたか?
その楽器のためのレパートリーがない楽器には、「シーン」なんて来ません。
こんなにフレンドリーで楽しい楽器なのに、何故なんでしょうね?

「鍵盤ハーモニカのための」という文言にここまで喰いつくのは私くらいかもしれませんが、私は更にその先の遠い未来を見ています。

そこではもう「鍵盤ハーモニカのためのどうのこうの」とすら呼ばれず(当たり前という意味で)、
単に「トオル」とか「スギモト」という愛称で、この楽曲達が楽しまれている…
そんな世界が来るのかどうかは、皆様次第です(笑)。